養生医学

運動と呼吸法

2017年01月06日

 

      運 動 に つ い て

 

 正しい食事を摂りキレイな濃い血液を造っても、その血液が患部や末端に運ばれなければ体質改善は困難です。そこで、血液循環を良くするには運動と呼吸法が有効です。

  運動を積極的にすることは血液循環、新陳代謝が良くなるだけでなく、それ以上に前向きに「気」を出して生きることにつながります。気が出ている間は死ぬことはありません。気が途絶えたときは死です。もちろん、気が衰えれば食欲も衰えます。

 運動には血液循環と新陳代謝を良くし筋肉の弾力性(柔軟性)を高める運動と、瞬発力、筋力、持久力を鍛える運動があります。

 昔は畳の部屋で座り、歩く、自転車で出かける、手で洗濯、掃除ははたき、雑巾掛け、トイレも和風等々、日常生活で充分に屈伸運動を行っていました、その結果、自然に複式呼吸も出来ていました。

 昭和30年以後、急速に文明の発達で利便性が良くなり、運動不足となり、それと共に食生活の洋風化も加わり体位向上、体力低下が著しくなり国民全体が半病人とも言える状況になっています。

  日本人の体位向上は、体を鍛え筋肉が引き締まって大きくなったのとは異なり、陰性食品を摂りすぎ細胞が緩み身長が伸び、水ぶくれの状態で体重が増えています。それ故筋力、体力は低下します。

 食養を実践しても、運動不足で治る速度が遅くなることがあります。文明の力を捨てることが出来ず、日常の生活を昔に戻すことが困難であれば運動、呼吸法を取り入れる必要があります。

 運動する暇がない方は、通勤の時一駅手前で降りて歩く、エレベーター、エスカレーターを使用せず階段を利用、しかも一段おきに上がる。或いは電話中膝を高く上げ足踏みをする、

 工夫をすれば方法は色々あります。自分にあった運動を実践して下さい。

 

○ 筋肉の緊張を和らげる運動

 

    全身の力を抜くには、最初、肩に思い切り力を入れ持ち上げ、瞬間的に力を抜いて肩を落とす。

  血液循環を良くし、新陳代謝を盛んにし、筋肉の弾力性を出すには、力を抜きゆっくりと筋肉を動かすと緊張がほぐれコリが解消します。腰の周りの筋肉の硬直が足腰を衰えさせ老化となります。

  又、首の周りの筋肉の硬直が肩凝り、五十肩、動脈硬化、ボケ、老化につながります。

1,肩幅より少し広めに立ち、手指を組んで手の平を前方に突きだし(手を伸ばしても良い)、腰を左右にひねる。この時。膝、首を動かすことなく、顔が後ろの壁と向き合えるのが理想。

    次に手指を組んだまま手の平を上に突きだし(手を伸ばしても良い)、腰を中心にして体を左右に倒す。この時手の平が真横に向けられるのが理想。

    次に手の平を上に突きだし、腰を前後に曲げる。前に曲げたとき手の平が床に着き、後ろへ充分反らす。この時、膝を曲げないこと。

  手を腰に当て、腰を回転する。

1、バンザイの姿勢からラジオ体操のように腰を回す。左回り、右回り。

1、両手を上げて大きく前回し、後回しに回す。肩の関節を出来るだけ大きく回す。

  次に手を上げ下げする。上に上げた時は腕が耳の後ろに付き頭上で両手の手の平を叩く、下に下ろした時はお尻の後ろで手の平を叩く。

1、膝関節と股関節を直角(90度)に曲げての足踏み。肘は直角に曲げ軽く振る。膝、足の付け根の関節を直角に曲げる運動をすると背骨と大腿骨を結ぶ腸腰筋、大腰筋が動き腹空内の新陳代謝、血液循環が良くなり、消化機能も良くなり、その他の臓器も活発に働く。

1.足首を回す。膝の屈伸運動。

1.首を左右にひねる。真後ろの壁が見られるのが理想。この時腰、足が動かないこと。

    首を前後に倒す、真後ろの壁が見られるのが理想。

    首を左右に倒す。顔を真横に倒せるのが理想。

    最後に首を回転させる。左回り、右回りでなるべく大きく回す。

    瞼を閉じたり、開いたりすると目の疲れが楽になります。この時こめかみのあたりを指圧、マッサージをすると目がスッキリ、指の運動にもなります。

 自分に合った運動を全体で10~30分毎日行うことが大事です。この運動は筋力アップではなく、筋肉に弾力を出す目的です。力を入れすぎたり、無理に曲げて筋肉を傷めないこと。継続は力なりと言います。たとえ5分でも朝晩毎日継続すると少しづつ大きく回すことが可能になります。

 

○ 体を鍛える運動

 

1,視線は前方に向け、一本のライン上を歩く気持ちで歩く。

  軽く踵を着ける気持で足の裏全体で着地し、つま先で軽く地面を蹴る。

  おへそを突き出すように背筋を伸ばし腰で歩く。

    手は肘を直角に曲げ大きく振る。

  歩幅を大きく、早足で汗が出る程度に歩く。

  階段は1段おきに上がり、早足で下りる。

1,スクワット、両足を軽く開き、膝関節と股関節を直角(90度)に曲げて屈伸運動をする。

  或いは椅子に深く腰掛け、手を使わずに立つ、腰かける動作を繰り返す。 

1,斜め姿勢の腕立て伏せ、机か壁に手を置き体を30~45度程度に倒し腕立て伏せをする。

 

○ ウォーキング

 

  体を積極的に鍛えるにはテニス、卓球等のスポーツをするのも一つの方法です。しかし、手軽で故障の心配もなく安全な運動は歩くことです、

    歩く時の姿勢、歩き方は上記の方法と同じです。

    無理なく負荷価値を高めた運動で体を鍛えることが出来るのは、坂道、山歩きが深部の筋肉を使

 い、心臓にかかる負担も大きく足先まで血液循環が良くなり、森林浴、日光浴も同時に出来ます。

  自転車をこぐのも良い運動になります。足を上げるときに膝が直角に曲がり、腸腰筋、大腸筋が働き、軽い坂道で負荷を与えることにより筋力をアップさせます。

  もう一つの方法は、雑巾掛け、柱等の空ふきを心を込めて行えば最高です。雑巾掛けを行えば冬でも体が温まり、汗も出ます。平地を歩くより短時間で効果が出ます。

 

○ 寝たきりの人の運動

 

※ 20日間の寝たきりで足の筋力は15%低下。

・寝床でも出来る運動

  歩くことの出来ない人は、寝たまま手指とか肘の関節を少しづつ動かし、続いて手を万歳の形を する。手を上げ下げする時に息を吐き、手を戻した時に息を吸う。これを実践すると横隔膜、胸郭、腹部の筋肉が動き、深い呼吸が出来、肺活量も増え、腹部の臓器の働きが良くなります。

    手指を動かすことにより脳の働きが活発になります。食事をよく噛むこと、計画を立て物事を考えることも脳の働きを活発にします。指の運動としてはスポンジを握る運動も有効です。

  要するに前向きな姿勢で手指を動かし、脳を使うことが健康で長生きする秘訣です。

 

  次に足を伸ばしたまま足の指の屈伸運動、次に足関節の運動でつま先を床に着ける気持ちで前に 倒し8秒ほど止め、その後、つま先を顔の方向に8秒ほど充分に反らす。この運動をするとふくらはぎの筋肉が伸び縮みし、足の筋肉の新陳代謝が旺盛になり冷え性にも効果がある。

    最後に膝関節を曲げたり、伸ばしたりを繰り返す。この時、踵がお尻に着けば理想です。

  これらの運動で腹空内の血液循環が良くなり、臓器の動きが活発となり、食欲が出、内臓脂肪も取れます。

  少ない時間から徐々に長くする。5~10分、1日に2~3回。

 

・室内での運動

    徐々に力がつけば、下肢の膝関節、股関節を直角に上げたり、伸ばしたりする運動。次に力がつけば下肢を垂直に上げ、足の裏を天井に向けたり、元に戻したりする運動。

 

  膝を立て足を左に倒し、同時に上半身は右に向け腰をひねる。足を右に倒した時は、上半身を左 に向ける。

  起きあがれる状態になれば、椅子に腰掛けて手を上げ下げ、膝を曲げたり、伸ばしたりします。

    徐々に力がつけば、上記の体を鍛える運動を少しづつ取り入れると良いでしょう。

  たとえば、最初は浅く椅子に腰掛け、手すりにつかまり立ったり、腰掛けたりすることに挑戦し

 て下さい。慣れてきたら手を使わずに立つ、最初は介護の人が見ている前で行って下さい。 

  濡れたタオルを両手で押さえても水は完全に絞れません。しかし、ひねると楽に絞れます。筋肉 もそれと同じことが言えます。筋肉をひねると細胞内の停滞している汚れた血液が動きだし、静脈 へ送り出し、その後、動脈から栄養素、酸素を豊富に含んだ血液が自然に入ってきます。

  末端の血液循環が良くなり、新陳代謝も良くなります。

 

※ 足腰をほぐし、鍛えることが老化防止、首の周りの緊張をほぐし、手先を使い、脳を使うのがボ ケ防止となります。

    運動をする時は1.2.3と号令を掛けながら行って下さい。自然に腹式呼吸となり、腹圧の急 上昇を防ぎ、疲労防止になります。

  毎日坂道を歩き、日記、文章、絵などを書けばボケ、老化防止に役立ちます。

 

 ○ 自転車

 

 歩行は下腿三頭筋(ふくらはぎ)を鍛え、自転車は大腿四頭筋、腸腰筋を鍛え、血管年齢も若返らせる効果があります。これらの筋肉は「寝たきり」予防に重要な役割を果たす筋肉です。自転車でこの筋肉を鍛えることにより「寝たきり」の予防対策になります。

 腸腰筋は背骨の下部、腰椎、骨盤、大腿骨のつけ根を結ぶ筋肉で、足を上げる時に重要な役割をします。自転車をこぎ足を戻すときにこの筋肉が働きます。

 腸腰筋は、山登り、階段を上がるときに鍛えることが出来ますが、体重を支えるため膝が痛い人、体力のない人はかえって健康を害することがあります。

 その点、平地の自転車こぎは体重をサドルが支えるから楽に腸腰筋を鍛えることが出来ます。

 消費カロリー

  同じ距離を移動するのに必要な消費カロリーは、歩行は、自転車の2倍必要とします。

  しかし、一分間あたりの消費カロリーは歩行も自転車もほとんど同じです。

  歩くより、自転車が楽に思えるのは「風」の影響で体温の上昇を抑えてくれるため疲労感が少ない。自転車は、歩行より2~3倍のスピードで走るため、扇風機の弱の風を浴び体温を放出する。

    心拍数も平均すると歩行、自転車とも同じですが、心拍数の上昇幅は自転車が大きい。

  それだけ自転車は、疲労感が少ないが負荷は大きく運動効果が上がる。

    筋トレは「最大筋力」の30%以上を使わないと効果が上がりません。自転車で2.5度の坂道を上がると「最大筋力」の50%以上を使う運動になります。10mの距離で40㎝アップ。

  平地と異なり、坂道を上がるときは自分の体重と自転車の重みが余分に負荷され運動量が大きくなります。

    自転車こぎでは歩く以上に血流が良くなり、血管の若返りの効果がありまが、ある一定以上のスピードになると血流は上がりません。

  又、重いペタルを踏むと筋肉が緊張し、血管を圧迫し血流は悪くなり、血圧を上昇させます。血管の若返りには逆効果になります。

  鼻歌が歌え、ある程度汗が出る早さが最適のスピードです。

  毎日20分、1週間で2時間~2時間半程度で効果。

 

 ○ スロージョギング   ためしてガッテンより

 

 乳酸が蓄積すると疲労します。従って乳酸が出来ないジョギングであれば、長く走り続けることが出来ます。その方法はスロージョギングで、時速4~5㎞(ウォーキング程度)で走ります。

  大腿部には縦に2種類の筋肉が走っています。その一つは白い筋肉(ヒラメ)でスピードを出す時に働き、もう一方は赤い筋肉(マグロ)でゆっくり走る時に働きます。人間は両方の筋肉を持つ。

 前者を速筋と言って、この筋肉を使うと乳酸が多く出来ます。後者は遅筋と言い、使用しても乳酸は安静時と同じ程度です。従ってウォーキングとスロージョギングは速筋を使わず、遅筋だけ使うから長時間続けても疲れません。

 時速4~5㎞ 1日 20分 脂肪消費:スロージョギング 5.0㌔カロリー  1.6倍

                   ウォーキング   2..7㌔カロリー

 毛細血管が23%増える。

 前頭前野、運動野の体積が増え、脳の働きが良くなり、判断力、決断力も良くなる。

 危険が少なく、効果は普通のジョギングやウォーキングよりも高い。

  血糖値、中性脂肪、コレステロール、ダイエット、血圧、尿酸などの数値が改善される。

 穀菜食を実践し、毎日30分程度スロージョギングを続け、汗を流すと効果が一層高くなります。

 

 

       呼 吸 法 に つ い て

 

○ 充分に息を吐くこと

 

 腹式呼吸をすると横隔膜を大きく上下させ、深部の筋肉を動かし全身の血液循環を良くします。

 充分に吐くことが出来れば自然に空気は入ってきます。従って自然に腹式呼吸になります。本来健康であれば腹式呼吸が出来ます。赤ちゃんはお腹を大きく上下に動かしているのを見れば明らかです。

 呼吸の呼は吐くこと、先に吐き、吸うのは後です。

 間違った方法で深く吸うことにより腹圧を高くすると臓器を傷めたり、血圧を上げることがあります。その点、手軽に失敗なく安全な呼吸法は、充分に息を吐ききることです。

 

  入浴後寝床で30~50回ほど実践します。冷え性の人でも全身の血液循環が良くなり、足先まで暖かくなり良く眠れます。朝起きる前でも良い。この方法であれば重病人でも気軽に出来ます。

 もちろん正座、座禅の姿勢で行えばより効果があがります。

 

○ 腹式呼吸

 

 腹式呼吸には2つの方法があります。一つは脳の働きを良くする呼吸法、もう一つは腹部の筋肉を鍛え体力をつける呼吸法です。

 

・体力をつける呼吸法

 息を静かに吐き、吐き終わったら、3~5秒息を止め、その後息を吸う。

 息を静かに吸い、吸い終わったら、3~5秒息を止め、その後息を吐く。

 要するに息を止めることにより副交感神経が刺激され、腹部の筋肉が緊張し陽性にする。

 最初は、吐くことは充分に吐き、息を止める時間は短く、腹圧を高め過ぎないように強さを加減する。無理に行うと腹圧が上がり過ぎ臓器を傷めたり、血圧が上がり危険が伴います。

 腹圧を上げ過ぎないように要注意。焦りは禁物、徐々に訓練して下さい。

 出来れば呼吸法の本を読むか、経験豊富な方の指導を受けて実践して下さい。

 

・脳の働きを高める呼吸法

 息を静かに吐き、吐き終わったら、息を止めずスグ静かに吸う。吸い終わったらスグ静かに吐く。

 この方法は、余分な力が抜け、全身の緊張が取れ、脳が活性化され心を沈めます。

 

 食養を実践し、補助として呼吸法を取り入れる程度であれば充分に吐くことを実践すれば成果を上げることが出来ます。

 ゆっくりと時間をかけて充分に吐くことを実践すれば、自然に腹式呼吸になります。

  この方法は失敗して体調を悪くする心配はありません。