養生医学

夏の病気・症状・予防

2017年01月06日

 

 食生活が洋風の高脂肪、高蛋白になり、しかも、間食にもスナック菓子、砂糖の入った洋菓子を食べ、カロリー過多になり、その結果、生水、清涼飲料水、コーヒー、ビールをがぶ飲みしています。それが熱中症、食中毒、夏バテの原因につながっていますが、一般的には知られていません。

 

○ 熱中症

 日射病、熱射病の総称を熱中症と言い、高温の場所で起こる熱による障害です。

 気温が30℃以上(夏日)になると多く発生するようになります。

 日射病は太陽光線を直接受け長時間スポーツ、労働をして体温が上昇して起こる症状です。屋外が70%、屋内が30%と言われています。

 高温多湿の車内で放置したり、ビニールハウス内、暑い室内で労働して体温が上昇して起こる症状で、日当たりが良く、風通しの悪い鉄筋コンクリートの部屋では、体が弱っていると部屋に居るだけで熱射病になることもあります。

 汗が出るときに熱を奪い体温調節をして暑さをしのいでいますが、汗と共に塩気が抜けるため、汗が出過ぎると脱水症状を起こします。

 血液がキレイで塩分濃度が適正であれば、部屋の温度が上がっても体温の上昇が押さえられ発汗も少ない、しかも血液の流れが良くなるから体温の放出もスムーズに行われます。炎天下でも最初に汗を出したら、後は蒸発する汗がほんのり出るのが理想です。

 水は0℃で凍りますが、海水は0℃では凍りません。血液も塩気が効いていると外気温に左右されにくいし、血液は塩気があるから流れます。

 反対に陰性食品を摂り過ぎると塩分濃度が低くなり、水分を保持する力が弱く発汗が多くなり、ますます脱塩状態となり体力を消耗します。

 もう一つ、同じ汗でも霧状に出る汗は、気化熱で体温を放出しますが、粒の大きい汗が流れ落ちると汗腺を塞ぎ、体温を放出することが出来ず、その結果、体温の上昇になります。

 主な症状:疲労感、頭痛、立ちくらみ、めまい、意識障害、多臓器不全。

      重傷になると失神、熱けいれん、脱水症状などがあります。

      陰性食品を摂りすぎていると血液中の塩分濃度が下がり、脱水症状を起こしやすくなります。

      動物性食品を摂りすぎていると脳梗塞、心筋梗塞を起こしやすくなります。

 

○ 熱中症の分類と症状 中日新聞 2011年6月7日より紹介

 熱失神:顔面蒼白、数秒間の失神、めまい、頻脈など。

     涼しいところから急に暑いところへ出たとき。炎天下であまり動かないときなどに起こりやすい。

 熱痙攣:高めの体温、吐き気、腹部・上肢・下肢などの痙攣など。

     炎天下で運動をして多量に汗を出したときなどに起こる。

 熱疲労:高体温(40℃未満)、めまい、疲労感、虚脱感、吐き気、頭痛、

    多量の発汗、失神など。

     多量の発汗で体重の2%以上の脱水と塩分の不足で起きる。

 熱射病:高体温(40℃以上)、意識がない、返事がおかしい、全身の痙攣、

    汗が出ない、過呼吸、まっすぐ歩けないなど。

     熱疲労の段階で気が付き、対処すると重傷にならずに済みます。

 

○ 熱中症予防対策

 西洋医学:水分、塩分をこまめに摂り、普段から体を動かし汗を出す。

 食  養:濃いキレイな血液であればそれほど水分補給をしなくても良い。

      蒸発する汗を出す程度の水分補給が適量です。

      摂るときは温かいお茶で、一緒に塩分も少し摂る。

 年齢による汗の差:顔、腕は差が少ない。

          胸は青年の1/2。

          足は青年の1/5。

   塩は陽性で下半身に蓄積され組織細胞、血管、皮膚などを硬くし、高齢になると下半身の汗の出が悪くなります。

   喉が渇きにくいから、こまめに水分を補給する。穀菜食を実践して血液循環が良ければ心配はない。

    普段から正しい食養を実践し、濃いキレイな血液にし中庸な健康状態を維持し、血液内の塩分濃度を適正にする。

   この条件が整えば体温調節機能が充分に働き熱中症予防になります。冷房で室温を下げ過ぎないこと。下げすぎると冷房で皮膚が収縮し、毛穴が閉じ発汗できない。

   運動をして血液循環を良くし、汗を蒸発させる。

   入浴により血液循環を良くし、汗腺を開き汗が蒸発しやすくする。

   大粒の流れる汗は、汗腺を塞ぎ体温が放出されない。

 

○ 熱中症の手当

  風通しの良い木陰に寝かせる。

  風通しを良くするため衣服を弛める。

  霧吹きで冷たい水蒸気をかけ扇ぐ。

 西洋医学:水は少しずつ。冷たい水(常温程度)を飲む。

      首筋、両脇、足の付け根を冷たいタオルなどで冷やす。

 食  養:頭部に豆腐パスター、青菜パスター。

      後頭部にキャベツ、胸に里芋パスター。

      醤油番茶、梅醤番茶を飲ませる。

      頭に生姜油をすり込む。

 

○ 夏風邪

  鼻水を出して体(上半身、全身)がだるい。元気がない。

 血液循環が悪く、お腹が冷え胃腸の働きが悪い。▽

 原因:陰性食品の摂りすぎ。

 症状:感冒と同じ、細菌(桿菌、生き物)。腸の冷え、▽

    熱がないか、37℃代、鼻水、鼻づまり、咳、痰、くしゃみ。

    風邪を引くのは、気管支の粘膜が弱い。▽

    しかし、咳は△、気管支の緊張。

 治し方:ねぎ味噌湯、梅干しの黒焼き入くず湯(ネギ入)、梅醤油番茶。

     37℃代の熱の時:味噌おじや(長ねぎ、干椎茸入)。蓮根料理。

     37℃以下の熱:味噌おじや(長ねぎ、油揚げ入)。蓮根料理。

 

○ ビル内冷房病

 冷房病は、冷房が強く効いたエリアに長時間いた後、外気温にさらされることを繰り返したときに自律神経の機能不良で血行が悪くなり、体の末端まで血液がうまく流れなくなるために起こります。

・原因:人間の体温調節をつかさどる自律神経は、5℃以上の急激な気温変化に対処できないため、それが繰り返されると、体温を下げる交感神経と体温を上げる副交感神経のバランスに異常をきたし、自律神経失調症類似の症状となります。

・症状:体の冷え、むくみ、疲労感、肩こり、頭痛、神経痛、腰痛、腹痛、食欲不振、便秘、下痢、頻尿、不眠、鼻炎、月経不順などがあります。

・対策:体質に合った正しい食生活を実践し、自律神経の機能を整える。

    冷房を弱くし、外気温との差を5℃以内にし、冷風が直接皮膚に当たらないようにする。 

    軽く汗をかく程度の運動をし、体温調節機能を刺激する。 

 

○  食中毒

・急性中毒

 さくらの皮を煎じて飲む:強アルカリ

 食べた魚の黒焼きを頓服:極陽性

 第一大根湯:殺菌、蛋白分解

 胃に内容物がある時:塩番茶、醤油番茶を飲ませて吐かせる。

 陽性便秘で動物性食品を食べ激痛:ごま油の頓服。

・慢性中毒

 ドクダミ茶。緑茶。

 大根料理。

 陰性の便秘には塩湯浣腸(体温程度)。

 

○ 細菌性食中毒

 ・毒素型:黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、

 ・感染型:腸炎ビブリオ、サルモネラ属菌、カンピロバクター

     病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌O-157がきわめて有名)

○ ウイルス食中毒

  ノロウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス。 

○ 化学性食中毒:アレルギー様食中毒:日本そば 

    ヒスタミンやアミン:マグロ、カジキ、サバが多く鮮度の落ちた魚、

   チーズ、発酵食品、腐敗した食品などが原因となる。

    調理の加熱ではヒスタミンは分解されない。

    胃腸炎の他に頭痛、発疹などの症状を呈す。

・自然毒食中毒

  植物性自然毒:毒キノコ:発症率ほぼ100%、植物性中毒の90%はキノコ。胃腸型、コレラ型、脳症状型、神経症状型、特殊型に分類さる。ジャガイモのソラニン、トリカブト。 

  動物性自然毒:フグのテトロドトキシン、貝毒、

 

○ 食中毒の予防:細菌による食中毒を予防する三大原則

・付けない(清潔):調理器具(包丁、まな板)の洗浄。

          手の洗浄も重要である。

・増やさない(迅速、冷却、乾燥):食材を冷蔵・冷凍する。手早く調理する。

・殺す(加熱):生食しない。 

  多くの細菌では、原因細菌が増殖し食中毒を発症しうる状態となっていても味や臭いを変えないため、飲食の直前に安全を確認するのは困難である。

  細菌・ウイルス以外の原因による食中毒の予防は、誤食しないこと。

・食養から見た予防対策

  食中毒を防止するためクエン酸、りんご酸で殺菌するため、梅干1日に1個、陽性な人は梅酢、夏みかん、すだち、レモン、りんごなどを少し摂って下さい。

  但し、過信して冷たい物のガブ飲み、暴飲暴食は慎むこと。特にお盆過ぎに冷たい物を摂りすぎると夏バテになります。

  砂糖、果物など陰性食品と動物性食品を摂らない。

  血液内の塩気が強ければ大丈夫。

   細菌性の疾患(陰性)には梅醤番茶、梅干、梅酢。

  疫痢など血便を伴う極陰性病には梅干の黒焼を葛湯で包み飲む。

  陰陽判定不明の時は玄米スープ、葛湯を摂る。

   お粥に梅干、葛湯に梅干。

   梅干の代用にはレモン汁、りんご汁にレモン汁を少し落とす。

  ウイルス性疾患(陽性):エイズ、エボラ熱、マラリアなど。

   第一大根湯、シイタケスープで蛋白を溶かす。

   抗生物質は悪玉菌を殺すが、善玉菌も殺す。

  抗生物質は耐性菌を造る。黄色ぶどう状球菌、結核菌など。

   正食を実践している人は食中毒には無縁。予防には梅干を1日に1個摂る。

 

○ 夏バテ

 夏バテは真夏に起こるのではなく、夏の疲れが気づかないうちに蓄積して、夏の終りから秋口にかけて症状が出てくるのを言います。

 原因は、梅雨時期以後の気温が25度以上で湿度の高い蒸し暑さが影響し、暑さで汗をかくと皮膚がベタベタし体温を放出することが出来ず、それが自律神経に影響し、内臓の働きが低下します。特に胃腸の働きが衰え食欲減退を引き起こし、暑い夜の「眠れない」がかさなり、次第に体力が落ち、元気がなくなります。

 冷たい飲み物ならノドの通りが良く水分を摂り膨満感を感じ、ますます食欲が進まなくなります。陰性タイプの人は常温以上の飲み物を摂ること。

 クーラーで冷やし過ぎると汗腺が閉じ発汗出来ないため体温調節が狂い内臓の機能を低下させます。もう一つクーラーの効いた寒い部屋から蒸し暑い街頭に出ると温度差で自律神経の機能が低下し、体温調節が困難になります。温度差が5~6度程度であれば対応が可能ですが、それ以上の差になると対応が困難になる人も多く、冷房病になる人もあり、冷房病になる人は夏バテもしやすくなります。

 

○ 夏バテ無縁の人、なりやすい人

 中庸に近い人は夏バテ、熱中症、食中毒にも縁が薄い。要するにキレイな濃い血液であれば真の健康体です。

 暑さに負ける人は陰性体質の人、或いは、体質は陽性でも陰性食品の摂りすぎで現在回っている血液が水っぽくなっている人です。

 水は0℃で凍ります。しかし、塩水は0℃では凍りません。要するに塩気があれば外部環境に影響されにくいのです。

  血液でも同じことが言えます。食養を実践し濃いキレイな血液であれば、血液内に一定以上の塩気があるから暑さだけでなく、寒さに対する抵抗力もあります。

 体質が陽性な人でも生野菜、果物、清涼飲料水、ビール等を摂りすぎ、手の平が湿っぽくなっている人は、現在全身を回っている血液中の水分が多いから夏バテになる可能性が高くなります。

 肥満型陽性タイプの人は体が焼けているからクーラーの設定温度を低くします。

 年齢と共に暑さを感じなり、喉も渇かなくなります。新陳代謝が悪い人。

 

○ 夏バテの原因と症状

 血液が少ないか、血液中の水分量が多く酸素、栄養分、炭酸ガス、老廃物を運ぶ力が弱いから、臓器、組織細胞の機能が低下し夏バテとなり、お腹が冷え、だるい、疲れやすい、目がかすむ、食欲減退、下痢等の諸症状が現れます。

 中庸の人は、サラサラの濃い血液を持っているから血液循環も良く、夏の外気の蒸し暑さも苦にならないし、冬の寒さに対する抵抗力もあります。

 

○ 夏バテの予防対策

  世間一般では、「土用の日にうなぎを食べて栄養をつけると暑さに負けない」と言っていますが、これは大きな間違いです。

 外気温が高いからエネルギーの消耗が少ないから脂肪、蛋白は少なくし、汗と共に塩気が抜けるから塩分の補給(美味しい味付け)は必要です。

 主食も玄米を少なくして麺類、特にひやむぎ、そうめん等を多めでも良いのです。もちろん、玄米ごはんが美味しく食べられ、体調が良ければ玄米ごはん中心の食生活にして下さい。1年中コンスタントに玄米が美味しく、体調が良い人は主食、副食のバランスが良く、季節に対応出来た副食を食べていることになり、絶えず中庸に近い体調が維持出来ている証拠です。このような人は夏バテだけでなく、他の病気にも無縁です。

 陰性で食欲の無い方は梅干しを摂って下さい。塩気で食欲を増し、クエン酸で澱粉の消化を助けます。陽性過多で食欲が無い方はきゅうり、レモン、トマト、豆腐など陰性食品を摂り中庸の体にします。

 

 飲み物も番茶、はと麦茶、麦茶等で冷え過ぎていなければ、ガブ飲みをしない程度に飲めば極度に水分制限をする必要はありません。但し、お小水の回数は3~4回程度で、朝ビール色が目安です。汗で発散するから飲み物が多少多くてもお小水の回数は増えません。

 炎天下を歩けば最初は汗が出ます。しかし、しばらく歩いていると汗が少なくなる程度の飲み方が健康的な水分量です。1日中汗がタラタラ流れるように出るのは飲み物の摂り過ぎてす。これでは脱塩を起こします。中庸の条件を満たす範囲内で飲んで下さい。

 過剰冷房による体調不良も多く見受けることがあります。冷やし過ぎに要注意。

 

○ 甘酒は冬の飲物か

 甘酒は俳句の季語では夏です。

 江戸時代は、夏バテ防止に利用していた。

 

○ 夏の食事注意事項

・陰性タイプ

 夏は外気が暑くエネルギーの消耗が少なく、皮膚、末端の血管が広がり血液が表面に集まり、臓器は貧血状態になり、消化能力が低下するから、少食で消化の良い食べ物が必要です。

 胃酸が少なく食欲のない人は、玄米がゆに梅干しで胃酸を出し食欲の回復を待ちます。玄米ごはんに戻した時もしばらくは梅干しを毎食1個食べること。

 ナス、トマト、ピーマンなどの極陰性の野菜は食べないこと。

 食中毒予防に梅干1日1個、或いは梅酢を料理に使うと良い。

 飲 物:三年番茶、番茶、はと麦茶、玄米茶、ヤンノー、タンポポコーヒー。

 手 当:お腹が冷えている時には梅醤番茶、醤油番茶、玄米スープ、葛湯、ヤンノー。

・陽性タイプ

 熱帯地方では陰性な野菜、果物、香辛料で体を緩め、汗腺を広げ体温を放出して体温調節をしています。日本でも夏は外気温が高いから、陽性な人は体を冷やす夏野菜が必要です。陽性な人は極陰のナス、トマト、ピーマンも体調に合わせ、しぎ焼きで油味噌そ添えるなど調理法を考えて摂って下さい。

 飲 物:番茶、はと麦茶、麦茶、ウーロン茶、ドクダミ茶。

 手 当:お腹が冷えている時には梅醤番茶、醤油番茶、葛湯、ヤンノー。