養生医学

気候風土と四季の食生活

2017年01月06日

 

 ○ 食と気候風土

 気候風土によって住居、衣類はハッキリ分かれています。と言っても現代社会では住まいに対しては冷暖房が普及して世界中鉄筋コンクリートの建物が増えています。

 しかし、50年前には熱帯地方であれば、壁や屋根を草、葉など植物性の材料で囲めば暑さから逃れ快適に生活が出来ました。温帯地方では木造で瓦とか萱・藁葺の屋根で生活が出来ました。寒帯地方になるとレンガ、石造りで寒さから守って生活をしていました。

 衣類では熱帯地方では麻、綿で織ったシャツで充分です。熱帯地方の山奥では、現在でも裸に近い状態でも生活は出来ます。温帯地方では綿、毛で織った衣類で生活しています。寒帯地方では、毛織物、毛皮で寒さから守っています。

 

 それと同じように気候風土により環境に合わせた食生活を守らなければ健康を維持することは出来ません。西洋栄養学では蛋白質、脂肪を重要視し、カロリーばかりを考え環境の変化を軽視しているから病人が増加する一方です。

 寒い地方では、体を暖めるカロリーの高い揚げ物、味噌煮込、鍋物等が必要になり、暑い地方へ行けばカロリーはそれほど必要なく体を冷やす生野菜、酢の物、果物等が必要です。

 日本のような温暖な国では、冬に多少の動物性蛋白を食べても良いけれど、夏には必要がありません。反対に夏に多少の生野菜、果物を食べても良いけれど、冬に食べると陰性に傾きカゼをひいたりします。玄米を食べていれば動物性食品は必要ありません。

 但し、動物性蛋白を食べる時は消化、殺菌、解毒させるため、3倍以上の生野菜、果物が同時に必要です。香辛料も動物性食品を食べる時には殺菌、解毒に必要です。

 

 ○ カレーライスは冬の食べ物?

 カレーライスは、暑いインドで暑さをしのぐための料理です。暑いと体温が上昇するから香辛料を取り、毛穴を開き、汗を出して体温を調節しているのです。そのカレーライスを冬に食べると、食べた直後は毛穴が開き体が熱く感じるけれども、体温を放出するから、しばらくすると寒くなりカゼをひく原因になります。

 しかし、寒いからと言って肉、魚、卵等を食べ過ぎれば糖尿病、高血圧、ガン、心筋梗塞、リューマチ、痛風等陽性の病気になり、芋類、生野菜、果物、香辛料を食べ過ぎると結核、心臓肥大、弁膜症、胃潰瘍、痔、低血圧、冷え症、不妊症、尿失禁等陰性な病気になります。

 

  ○ 食事のバランス

 季節により、食事の内容、調理方法を変えると共に食事のバランスも考える必要があります。

 食事のバランスと言っても、現代栄養学で教わった30種類以上の食品を毎日食べ、高脂肪、高蛋白の食生活では健康にはなれません。

 戦後50年が過ぎ、その間西洋栄養学が浸透した結果、日本はガン、心臓病、糖尿病など生活習慣病が急増し、精神病、寝たきり老人、ボケ等も急激的に増加し、健康保険の赤字が増える一方です。

 

  ○ 動物性食品は原則として必要ない

  病気療養中は動物性蛋白を特別な時以外は食べないこと。ガン等の重病人の人は病気が治った後も5年間は食べないこと。健康な人でも原則として食べないのが一番良い食生活法です。

 肉体労働を目指す人は少しは食べても良いが、頭脳労働を目指す人は完全な穀菜食を実践すること。

  もし、食べる時には毒消し法を研究し、人に迷惑をかけないように食べること。

 私達の考える食事のバランスは、主食3に対し、副食1、そして、動物性蛋白を食べるにしても副食の中の3分の1です。食事全体の量から見ると動物性蛋白は、主食の10分の1程度になります。

 

 戦前の日本には一汁一菜と言う素晴らしい諺がありました。麦ご飯に少しの煮物、味噌汁、たくわんといった食生活でしたが、今日のような生活習慣病は少なかったのです。暑さ、寒さにも強く、忍耐力のある健康な人が多かったのです。

 但し、低カロリーからくる肺結核、油不足からくる神経痛が多く見られたが、これは白米から玄米に切り替え、コーフーカツ、野菜の天ぷら等を時々食べればその点は問題ありません。

 高脂肪、高蛋白の現代栄養学が正しいとすれば、病院は暇になり、健康保険も黒字になるのが当然です。しかし、現状は正反対でどこの病院も繁盛し、健康保険は大幅な赤字になっています。

 生活習慣病が老人に多いとなれば、まだ話がわかるけれども、現在では働き盛りの人、子供迄が、生活習慣病で悩んでいる人が増えているのは深刻な問題です。

  要するに、現在の病気の大半は蛋白質、脂肪、カルシュウム、ビタミンの不足ではなく、栄養過多か、砂糖の入ったお菓子、清涼飲料水、コーヒー、酒類、香辛料等の陰性の摂り過ぎで貧血等で病気になっているのです。もし、現在でも栄養不足となれば、貧乏人は病気になり、お金持ちだけしか健康になれないと言う事になります。

 神は、そのような不公平な事はしません、昔から「貧乏人の子沢山は丈夫に育つ」と云います。

  主食をしっかり食べ、副食、間食を少なくするのが健康になる早道です。特にインスタント食品はなるべく食べないようにしたいものです。

 

  ○ 塩味について

  塩味は体質症状によって好みが異なり、陽性な病人、特に多血型の人は、動物性蛋白の摂り過ぎで塩気の蓄積があるから薄味を好みますが、小魚、干物等を食べ過ぎた萎縮型の陽性タイプの人は、案外塩辛い食べ物を好みますが、ひと味薄目にし、カリューム(K)を多く含む芋類、豆腐などを摂る必要があります。

 陰性な人は、やや塩味が強い物を好みます。しかし、体力が大幅に落ちている時には、強い塩気を嫌うため徐々に塩気、油気を強くすることが必要です。いきなり強い塩気を入れるとお小水がストップすることがあります。

 

 薄味を好む人でも、現在の症状が陰性な状態の人は塩気を入れる工夫が必要です。要するにお小水の回数、脈拍数の多い人、睡眠時間の長い人は極端な薄味は危険です。体質が陽性で、陰性症状の人は上手に塩気を入れて下さい。

 たとえば豆腐、里芋、じゃがいもをとろ火で煮込み塩味を充分に染みこませるのも一つの方法です。

 逆に塩辛い物を好む人でも夜中にトイレに起きたり、背中、腰に痛みを感ずるようになった人はひと味薄目にし、主食を少し陰性にする。

 

 関西方面の方は、普通の食事をしていた時に動物性の出しを多く使っておられたから、薄味に慣れている人が多いのです。穀菜食では、陰性な人にはやや濃い味付け、陽性な人にはやや薄目にする必要があります。

 但し、後で湯茶を要求しない程度の味付けにします。要するに新しいイオン化Naを入れながら、古い動物性の塩気(古塩)を抜くことにより体質改善が出来ます。

 この時、身体を動かし血液循環、新陳代謝を高めると効果が一段と加速されます。

 

○ 四季の違い

 春:芽  :ビタミンC、K、水分が多い。野草には苦味の陽性もあります。

       ジャガ芋の芽(紫色)は猛毒。

 夏:茎、葉:ビタミンC、K、水分。

   実  :果菜、果物:ビタミンC、K。

 秋 実が黄色になる:米、栗:ビタミンA、ビタミンDが多くなる。

   紅葉した後の実:良質なデンプンが多くなる。米。

 冬     秋から三大栄養素の中でもデンプンをしっかり摂る。

   穀類、根菜:澱粉を蛋白、脂肪に替える。

         この脂肪はあまり酸化しない。

 

 ※ 石塚 左玄の言葉:春苦味、夏酢の物、秋辛味、冬脂物。

 

○ 春:酸味

 主食:ご飯、うどん。

 冬に蓄積した陽性な老廃物を除去する。

 副食:新芽、つみ菜、間引き菜、たけのこ、野草。

    野草の天ぷら、青菜の胡麻和え。青菜の酢味噌和え。

 苦味:野草は陰性だから裏に陽性な苦味を持っている。

 野草の天ぷら、青菜の胡麻和え。青菜の酢味噌和え。

 果物:甘夏、夏みかん、イチゴ。

 

○ 梅雨時

 主食:ご飯、うどん、ひやむぎ、そうめん。

    釜揚げ、軽く煮込むか、かけ。

  夏バテ防止に甘酒が江戸時代には飲まれていた。

 副食:葉菜、玉ねぎ、季節の青い豆。

 果物、果菜:さくらんぼ、瓜類。

 

○ 土用:甘い

 主食の代表の玄米が美味しく食べられるのが健康な人。

 土用の餠。

 野菜の天ぷら、てっか味噌。

 

○ 孟夏:苦味

 太陽の日差しが強く、体温に近い真夏にはカロリーを必要としません。だから、冬に日照時間の短い時に育った麦が夏の主食として最適です。しかも、うどんではなく陰性なひやむぎ、そうめんが美味しく食べられ、体を冷やします。

 エネルギーはあまり必要としないから、脂っこい物は必要ありません。時折野菜の天ぷらを食べる程度で充分です。

 但し、塩は汗と共に排泄されるから、美味しい塩味か、一味薄目で食べて下さい。体質によって異なります。しかし、極端に減らす必要はありません。体調を見ながら塩味を決めて下さい。

 主食:ごはん、ひやむぎ、そうめん。

    ざる、もり、但し、陰性な人はかけ・軽く煮込む。

 副食:葉菜、キュウリ、季節の青い豆、ナス、トマト、ピーマン。

    サラダ、塩もみ、酢の物。

 果物、果菜:スイカ、瓜類、桃、梨、ぶどう。

 

○ 秋:辛味

 冬に備えエネルギーの蓄積。主食を中心に食べる。

 主食:ごはん、うどん、日本そば。

    炊き込みごはん、蒸す(栗ご飯)、かけ、煮込み。

 副食:根菜類、豆類、芋類。

    煮物、炒め物。

 果物、木の実:りんご、みかん、柿、栗、ぎんなん。

 

○ 厳冬:塩辛い

 塩、油、火を使い陽性にして食べ、体を温める。

 主食:玄米餅、玄米ご飯(炒めご飯)、日本そば、味噌煮込ほうとう・うどん。

 副食:根菜類、豆料理、芋類。

    味噌料理、煮込み料理、鍋物、揚げ物等。

 

 その最たる料理はおせち料理です。雑煮、田作り、揚げ物、昆布巻き、勝栗、黒豆、白いんげん豆、するめ、かずのこ、伊達巻き等です。

  健康な人であれば盆、正月、祭りごと等に少しの動物性食品は許されます。特に寒い時期に多少の動物性食品は体を温めるのに有効で、比較的害は少ない。しかし、病気療養中の人には許されません。

 昔の人は、砂糖、果物は、それほど摂っていなかったから、自然に陽性になり、体力があり、寒さに対する抵抗力もあった。

 動物性食品は確かに体を温めますが、徐々に動脈硬化がすすみ40・50代になり神経痛、リューマチ、前立腺肥大、動脈硬化、脳出血などに悩まされてきました。しかし、昭和30年以降より動物性蛋白の摂取量が急激に増えると共に成人病の若年化がすすみ、病名も成人病から生活習慣病に変わってきました。

 

○ 食養の耐寒法

 ・水分を少なくすること。

 ・果物、生野菜、酢の物等を摂らないこと。

 ・玄米餅、鉄火味噌、油味噌、日本そば等を摂る。

 ・澱粉を中心に蛋白、脂肪も少し多めに摂る。

  ・塩気はそれほど強くしない。

 ・火と時間の△を使う。

  煮込みうどん、おでん、けんちん汁。

 ・油で調理する。

  高温でビタミンCを消す。

  炒めご飯、野菜炒め、天ぷらなど。

※ 濃いキレイな血液が充分にあれば寒さ、暑さに強い。塩気の強い血液にする。

  道路の凍結防止剤は、水に塩を混ぜて散布する。

  36.5℃の体温を循環させたら寒くない。

 

  食養料理だけでも体を温めることは充分に出来ます。

 要するに根菜を中心に油と塩気と加熱の陽性で調理した料理が体を温めます。油焼きした餅を味噌汁に入れる、揚げ餅、炒めご飯、焼きうどん、餅入煮込みうどん、煮込みそば、そばがき、てっか味噌(自然薯入最高)、油味噌、塩ぜんざい等。

 昆布の佃煮を毎食1~2枚食べて血管を丈夫にすることも大切です。

 

○ 味と季節 

 

         春       夏    土用     秋       冬   

        ▽     ▲     中庸     ▼       △   

        木     火    土      金      水  

       酸っぱい  渋い   甘い    辛い   塩からい

                 苦い                             

        肝臓    心臓   膵臓    肺臓     腎臓 

        胆嚢    小腸   胃     大腸     膀胱 

        目       舌    口      鼻      耳  

        筋肉     血脈     肌肉    皮膚     骨   

        青       赤      黄      白       黒   

        怒       喜(笑) 思      悲(憂   恐  

        涙       汗      涎      涕       唾   

        麦       黍      粟      稲       豆   

 

(注) 甘いのは、澱粉を良く噛んだ甘さ、砂糖は極陰、

  砂糖は水に溶けると物を溶かすが、乾燥すると防腐剤の役目を果たす。

    よって人間の血液に入ると赤血球を膨張させ溶かす。

 

 動物性蛋白(肉、卵)の摂りすぎ りんご酸

 塩気(魚)の摂りすぎ      第一大根湯

 脂肪の摂りすぎ         シイタケスープ