養生医学

冷え性、低体温は陰性か

2017年01月07日

 

 野生の動物には冷え性がありません。冷え性になれば死につながります。それはナゼでしょうか。

 野生の動物は、自分の行動範囲内で、しかも季節に出来る物をエサにしています。身土不二の原則の生活です。ウサギ、カモシカ、日本猿、パンダ等は枯れ草、葉、木の皮、実、笹の葉、竹などを食べて生活しています。

 

 人間も昔は隙間風があり、主婦は冷たい水で台所仕事をしていたから「しもやけ」「アカギレ」「手荒れ」などは多かったけれど、冷え性は少なかったのです。人間も近くで採れた農産物、しかも季節に出来た食物を食べていたのです。

 現代人は動物性蛋白を摂るから体が焼ける。その反面、砂糖、果物、生野菜、酢の物、水分を摂り過ぎ陰性の冷え性になります。

 体が焼けるのも病気です。

 もう一つ住環境の完備で隙間風がなくなり、湯沸かし器の登場で「しもやけ」「アカギレ」「手荒れ」などは大幅に少なくなりました。

 しかし、冷暖房の完備で皮膚を鍛える機会が少なくなり、冷え性の人が急増しています。

 

○ 陰性の冷え性

 陰性の冷え性は、動こうと思っても動きが悪いが、午前中は比較的動ける。

 原因は、果物、生野菜、酢の物、砂糖、ハチミツ、麦芽飴などの入った陰性食品を摂りすぎ血液を水浸しにした結果です

 しかも、現在では世界中の熱帯、温帯地域の農産物、季節はずれ、ハウス栽培、水耕栽培の農産物が大量に手に入り、しかも農薬、化学肥料を大量に使用した農産物を摂取しています。

 その上、遺伝子組み換え農産物も出回っています。

 もう一つ、食品加工される段階でも着色料、保存料、酸化防止剤など種々の食品添加物が添加された食品が大量に出回っています。

 要するにビタミンC、カリューム、水分の多い食品、砂糖などの甘味料、食品添加物など化学薬品の入った食品は血液を水浸しにし、血液を溶かします。

 このタイプの食事は、主食3に対し、副食(穀菜食の基本食)を1を忠実に守る、飲み物も1日に2~3合以内に抑え、1日のお小水の回数を3~4回以内にすることが大切です。

  食養料理だけでも体を温めることは充分に出来ます。要するに根菜を中心に油と塩気と加熱の陽性で調理した料理が体を温めます。

 味噌煮込みうどん、揚げ餅入り煮込みうどん、玄米餅、炒めごはん、赤飯、煮込みそば、鉄火味噌(自然薯入最高)、油味噌、こうふうカツ、野菜てんぷら、味噌おでん、ぜんざいなど体を温め、造血する食べ物を摂ります。

 昆布の佃煮を毎食1~2枚食べて血管を丈夫にすることも大切です。

 貧血の激しい時は、鯉こく、ウニの塩辛を摂ることもあります。

 なお、当分の間は、緑黄野菜、果物、酢の物などの陰性食品は厳禁です。

 

○ 陽性の冷え性

 陽性冷え性は、朝起きてスグは動きが悪いけど、体を徐々に動かし、血液循環が良くなると良く動け、夕方から夜には活発になる。

 動物性蛋白の中に含まれるNaの摂りすぎで、毛細血管、組織細胞が硬くなり、血液循環が悪く体温を表面に放出することが出来ません。

 このタイプの食事は、味噌煮込みうどん、赤飯、玄米ご飯、玄米餅、里芋入玄米餅、ほうとう、豆腐、里芋、ジャガ芋などで細胞に弾力を与え、緑黄野菜を摂り動物性蛋白、脂肪を溶かすことが大切。

 極陽性になっている時には玄米をカット、麺類だけのこともあります。

 椎茸昆布を毎食1~2枚食べて血管を丈夫にすることも大事です。

 運動をして血液循環を良くすることも大切です。

 玄米食に入った最初の冬は、皮下脂肪などが溶け出し体が引き締まるから寒く感じます。

 頭寒足熱が健康体で、「頭を冷やし、足を温める」と云う言葉ではありません。

 短時間に調理すると動物性の味は出ません。じっくりと時間をかけると動物性の味に近づけます。

 

○ 低体温の一般的な見方

 西洋医学では低体温、冷え性と言えば貧血で、顔が青白く、元気がない人をイメージしています。

 しかし、最近では動物性蛋白(特に貝類、甲殻類)の摂りすぎで、意外に陽性過多の低体温の人も増えています。但し、このタイプの人は古塩が多く組織細胞は硬いが、血液中のイオン化ナトリューム、カルシュームは少ない人もあります。

 日本人の平熱は、36.5℃前後ですが、ここ10年ほどで35℃台の低体温の人が増えています。女性に多かったが、最近では子供や男性にも増え、さまざまな不快な症状や病気を引き起こす原因になっています。

 「低体温」は、自覚していない人が多いようです。特に女性の場合には、排卵前の低温期が非常に低いケースもあるなど、わかりにくいようです。

 低体温を招く原因は? 

 ここ10年くらいで、子どもや男性にも低体温の人が増えたと言われています。なぜ、低体温の人が増えたか、低体温は、次のような食生活や生活習慣が関係していると思われます。

.冷暖房などが整っている住環境 

.湯船につからずシャワーだけですます入浴 

.体を締め付ける下着

.運動不足 

.過度のストレスによる血行不良やホルモンのアンバランス 

.朝食抜き、食べ過ぎなどの乱れた食習慣

.冷たい物や甘い物の食べ過ぎ

.季節はずれの野菜や果物の摂取

.過激なダイエット

 食養から見ると低体温にも陰陽があります。

 

○ 陰性低体温

 食養を永く実践している方には少なく、甘い物、酢の物、果物、生野菜、ジュース、生水等を多く摂取し、血液の水分量が多く、手足がしっとりとし、お小水の回数も多い冷え性タイプです。当然顔色も白く、声も弱く、話すテンポ、行動ものろくなっています。

 朝起きた時は比較的動けるが、血液が水っぽいか、血液が少ないため酸素、栄養素、老廃物を運ぶ力が弱いから、朝起きる時にも体が重いが、時間が過ぎると共に疲れが増し、夕方にはバテて早めに床につくタイプです。

 要するに一日中疲れて動くことがつらいのです。

 寒い季節は当然弱いし、夏の暑さにも弱く、汗が多く脱水症状を起こしやすい。

 陰性の低体温の人には、食養の基本食を実践し、玄米もちを油焼きにして味噌汁に入れて食べる。うどんも味噌煮込み、天ぷらそば、鉄火味噌、油味噌、味噌おでん等、貧血の激しい時には鯉こく、うにの塩辛等を一時的に食べる。

  もちろん、今まで好んで食べたり、飲んでいた陰性な食品は厳禁で、副食は、主食の1/3以下にすること。当然飲み物も1日に2~3合で、1日のお小水の回数3~4回を維持すること。トイレに行くのを我慢するのではなく、自然に回数が減るように食事を調節すること。

 

○ 陽性低体温

 朝起きて動きが悪いが、体を動かしていると徐々に調子が良くなり、夕方から夜に元気が出る人は、陽性過多の低体温と見るべきです。

 現在一般の食事が動物性蛋白の摂りすぎで、全身の細胞、特に手足等の末端の組織細胞、毛細血管が硬くなり、血液は濃いけれど血液循環が悪くて冷え性になっているのです。特に赤い血液を持たない貝、甲殻類など蛋白質を多く食べた人は色白で陽性過多の低体温になりやすい。

 又、食養の実践期間が長く、玄米に黒ゴマ塩、てっか味噌で締め過ぎた女性、特にニボシ、ジャコ等の小魚を摂っていた人の低体温は上記のタイプと同じです。

 このタイプの人は血液が水っぽい低体温とは異なり、濃い血液を持っているが、血液が酸化し、組織細胞、毛細血管が硬く弾力がないため血液循環が悪くなっているための低体温です。

 その証拠にこれらの人は、朝起きた時には体が重かったり、動きが悪いけれど、体を動かしている間に徐々によく動けるようになり、声にも力があります。

 冬の寒さには弱いが、夏の暑さは平気です。しかし、冷房は苦手。炎天下を歩いても汗は出ないか、少なく持久力があります。

  治し方は、過剰な蛋白の消化剤としてキャベツ、白菜、大根等の緑黄野菜、主食に組織細胞、血管の弾力を出すのに玄米粥、赤飯、玄米餅、味噌煮込うどん、ほうとう、副食に昆布の佃煮、味噌おでん、味噌汁に豆腐、里芋、こんにゃく、ジャガ芋等のカリの多い食品を入れることが必要です。

 陽性の低体温は陽性な塩気(Na)が多く、陰性な塩気(K)不足です。カリの多い芋類、大豆製品の豆腐を味噌で調理することにより体に弾力を出すと共に味噌味の陽性とじっくり煮込む時間の陽性を使い低体温を治します。

  切干大根と里芋の煮合わせ、野菜炒め等も美味しければ食べて下さい。

 体調により醤油味にしたり、短時間に調理した食べ物を食べて下さい。自分自身の状態に合う素材、調理法を選ぶことが大切です。

 自分自身どのタイプの低体温化を正しく判断して下さい。

 

      陽性冷え性、低体温の食事

 

主 食 ・玄米ごはん、麦入玄米ごはん、玄米粥、玄米餅、赤飯、ほうとう、手打ちうどん、生うどん、スパゲティー、マカロニ、お好み焼き。

ごま塩 ・8:2の黒ごま塩でパラパラ、白ごまふりかけ。

味噌汁 ・豆・麦味噌半々か、麦味噌が多くても良い。

出 し ・昆布、干しいたけ。

  具  ・わかめ、玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、油揚げ、麩、切干大根、南瓜、大根、白菜、春菊、小松菜、みつ葉、もやし、えのき茸、ゆば、里芋、じゃがいも、豆腐、ゆば、とろろ昆布等。

副 食  ・金平(ごぼう、蓮根、人参),ごぼうの丸煮。

        ・鉄火味噌、油味噌、ねぎ味噌、生姜味噌、ゆず味噌。

        ・ひじき蓮根、ひじきこんにゃく、ごま豆腐、ゆば料理。

        ・昆布の佃煮、椎茸昆布、のりの佃煮、焼きのり。

        ・南瓜昆布、小豆南瓜。白いんげん豆、うずら豆、季節の青い豆。

        ・切干大根と高野豆腐(油揚げ)。切干大根と里芋と油揚げの煮合わせ。

        ・野菜の天ふら(大根卸し付)ごぼう、蓮根、玉ねぎ、長ねぎ、南瓜、のり、よもぎ、しその葉、さつま芋、生しいたけ、きのこ等)。

        ・南瓜料理(コロッケ等)、蓮根料理(ボール、ハンバーグ等)、コーフー料理(カツ、串カツ、コーフボール等)。

        ・おでん、味噌煮(ごぼう、蓮根、人参、大根、厚揚、がんもどき、里芋、じゃがいも、こんにゃく、豆腐)。

    ・大根料理。(ふろふき、油揚げと煮付)。

     関節が硬い人ごま油、醤油入大根おろし。

        ・セイタン(油揚げ、生こうふう)と野菜の炒め煮(玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、人参、南瓜、小松菜、大根葉、つみ菜、ぬき菜、春菊、キャベツ、とうもろこし、えのき茸、洋野菜、冬場はあんかけ料理。

        ・豆腐料理(湯豆腐、揚げ出し、ステーキ)、おから料理。

        ・温野菜サラダ。

        ・梅干、古漬たくあん、白菜漬、即席漬。

飲 物  ・三年番茶、番茶、はと麦茶、麦茶、ウーロン茶、どくだみ茶、ヤンノー、タンポポコーヒー、くず湯。りんご或いはみかんジュース。

        ・お腹が冷えて痛い時には醤油番茶、梅生番茶(大根おろし入)。

手 当 ・生姜シップ、生姜油の擦り込み、足湯、生姜湯風呂(5分前後)等。

         入浴は低めの温度。

 

      陰性冷え性、低体温の食事

 

 造血の早い玄米もち、赤飯、味噌煮込みうどん、煮込みそば、味噌料理、自然薯入鉄火味噌、男性ホルモンを造る亜鉛、鉄分の多い高野豆腐、乾燥湯葉、ひじきを根気よく食べる。

 貧血が激しい時は、一時的に鯉こく、ウニの塩辛。

 

主 食 ・(あわ、きび入)玄米ごはん、小豆入玄米ごはん、炒めごはん、焼きおにぎり、玄米もち、ほうとう、豆味噌煮込みうどん、日本そば、スパゲティ-、マカロニも可。

ごま塩 ・7:3の黒ごま塩 小匙1杯程度、軽い貧血には白ごまふりかけ。

味噌汁 ・豆味噌100%か。状況によって豆・麦味噌半々。

出 し ・昆布。

  具  ・わかめ、玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、油揚げ、麩、油焼き玄米もち、切干大根、南瓜、百合根、自然薯、大根、白菜、春菊、小松菜、ゆば。

副 食  ・金平(ごぼう、蓮根、人参)。

        ・鉄火味噌(自然薯入が最高)、油味噌。

    ・貧血が激しい時鯉こく、うにの塩辛、卵醤。

        ・ひじき蓮根、ひじきごぼう、ひじきこんにゃく、ごま豆腐、自然薯。

        ・昆布の佃煮、たけのこ昆布、のりの佃煮、焼きのり。

        ・南瓜昆布、小豆昆布、白いんげん豆、うずら豆。

        ・切干大根と高野豆腐(又は油揚げ)、乾燥ゆば料理。

        ・野菜の天ふら(大根おろし付)ごぼう、蓮根、人参、玉ねぎ、長ねぎ、南瓜、栗、のり、よもぎ、しその葉。

        ・南瓜料理(コロッケ等)、蓮根料理(ボール、ハンバーグ等)、コーフー料理(カツ、串カツ、コーフボール等)、雑穀入(ハンバーグ、コロッケ等)。

        ・おでん、味噌煮(ごぼう、蓮根、人参、大根、厚揚、がんもどき)。

    ・大根料理(ふろふき、油揚げとの煮付け等)。

        ・セイタン(油揚げ、生こうふう)と野菜の炒め煮(玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、人参、南瓜、小松菜、大根葉、冬場はあんかけ料理。

        ・梅干、寒漬大根、古漬たくあん、夏場には即席漬を少し食べても良い。

飲 物  ・塩入三年番茶、ヤンノー、タンポポコーヒー、玄米スープ、くず湯、

     醤油番茶、梅生番茶。

手 当 ・生姜湯シップ、生姜油の擦り込み。生姜湯の足湯。

 要するに根菜を中心にじっくり火を通し、陽性な加熱のエネルギーを加えた料理が必要です。炭火で調理すれば遠赤外線の効果があります。

 貧血には鉄鍋を使えば鉄分の補給にもなります。