養生医学

低体温は陰性か

2017年01月06日

 

○ 低体温の一般的な見方

 

 西洋医学では低体温、冷え性と言えば貧血で、顔が青白く、元気がない人をイメージしています。

 しかし、最近では動物性蛋白(特に貝類、甲殻類)の摂りすぎで、意外に陽性過多の低体温の人も増えています。但し、このタイプの人は古塩が多く組織細胞は硬いが、血液中のイオンナトリューム、カルシュームは少ない人もあります。

 

 日本人の平熱は、36.5℃前後ですが、ここ10年ほどで35℃台の低体温の人が増えています。女性に多かったが、最近では子供や男性にも増え、さまざまな不快な症状や病気を引き起こす原因になっています。

 低体温は自覚症状が少ない。

 冷え症は女性に多く、実際に手足の冷えや、下腹部、腰部、下半身の冷えなど自覚症状を感じやすいものです。一方「低体温」は、自覚していない人が多いようです。特に女性の場合には、排卵前の低温期が非常に低いケースもあるなど、わかりにくいようです。

 低体温を招く原因は? 

 ここ10年くらいで、子どもや男性にも低体温の人が増えたと言われています。なぜ、低体温の人が増えたか、低体温は、次のような食生活や生活習慣が関係していると思われます。

 

.冷暖房などが整っている住環境 

.湯船につからずシャワーだけですます入浴 

.体を締め付ける下着

.運動不足 

.過度のストレスによる血行不良やホルモンのアンバランス 

.朝食抜き、食べ過ぎなどの乱れた食習慣

.冷たい物や甘い物の食べ過ぎ

.季節はずれの野菜や果物の摂取

.過激なダイエット

 

 食養から見ると低体温にも陰陽があります。

 

○ 陰性低体温

 

 食養を永く実践している方には少なく、甘い物、酢の物、果物、生野菜、ジュース、生水等を多く摂取し、血液の水分量が多く、手足がしっとりとし、お小水の回数も多い冷え性タイプです。当然顔色も白く、声も弱く、話すテンポ、行動ものろくなっています。

 朝起きた時は比較的動けるが、血液が水っぽいか、血液が少ないため酸素、栄養素、老廃物を運ぶ力が弱いから、朝起きる時にも体が重いが、時間が過ぎると共に疲れが増し、夕方にはバテて早めに床につくタイプです。

 要するに一日中疲れて動くことがつらいのです。

 寒い季節は当然弱いし、夏の暑さにも弱く、汗が多く脱水症状を起こしやすい。

 陰性の低体温の人には、食養の基本食を実践し、玄米もちを油焼きにして味噌汁に入れて食べる。うどんも味噌煮込み、天ぷらそば、鉄火味噌、油味噌、味噌おでん等、貧血の激しい時には鯉こく、うにの塩辛等を一時的に食べる。

  もちろん、今まで好んで食べたり、飲んでいた陰性な食品は厳禁で、副食は、主食の1/3以下にすること。当然飲み物も1日に2~3合で、1日のお小水の回数3~4回を維持すること。トイレに行くのを我慢するのではなく、自然に回数が減るように食事を調節すること。

 

○ 陽性低体温

 

 朝起きて動きが悪いが、体を動かしていると徐々に調子が良くなり、夕方から夜に元気が出る人は、陽性過多の低体温と見るべきです。

 現在一般の食事が動物性蛋白の摂りすぎで、全身の細胞、特に手足等の末端の組織細胞、毛細血管が硬くなり、血液は濃いけれど血液循環が悪くて冷え性になっているのです。特に赤い血液を持たない貝、甲殻類など蛋白質を多く食べた人は色白で陽性過多の低体温になりやすい。

 又、食養の実践期間が長く、玄米に黒ゴマ塩、てっか味噌で締め過ぎた女性、特にニボシ、ジャコ等の小魚を摂っていた人の低体温は上記のタイプと同じです。

 

 このタイプの人は血液が水っぽい低体温とは異なり、濃い血液を持っているが、血液が酸化し、組織細胞、毛細血管が硬く弾力がないため血液循環が悪くなっているための低体温です。

 その証拠にこれらの人は、朝起きた時には体が重かったり、動きが悪いけれど、体を動かしている間に徐々によく動けるようになり、声にも力があります。

 冬の寒さには弱いが、夏の暑さは平気です。しかし、冷房は苦手。炎天下を歩いても汗は出ないか、少なく持久力があります。

  治し方は、過剰蛋白消化剤としてキャベツ、白菜、大根等の緑黄野菜、主食に組織細胞、血管の弾力を出すのに玄米粥、赤飯、玄米餅、味噌煮込うどん、ほうとう、副食に昆布の佃煮、味噌おでん、味噌汁に豆腐、里芋、こんにゃく、ジャガ芋等のカリの多い食品を入れることが必要です。

 陽性の低体温は陽性な塩気(Na)が多く、陰性な塩気(K)不足です。カリの多い芋類、大豆製品の豆腐を味噌で調理することにより体に弾力を出すと共に味噌味の陽性とじっくり煮込む時間の陽性を使い低体温を治します。

  切干大根と里芋の煮合わせ、野菜炒め等も美味しければ食べて下さい。

 体調により醤油味にしたり、短時間に調理した食べ物を食べて下さい。自分自身の状態に合う素材、調理法を選ぶことが大切です。

 

 自分自身どのタイプの低体温化を正しく判断して下さい。

 

       陽性低体温の食事

 

 陽性低体温は末端の組織細胞、血管が硬く弾力がないから主食を少し柔らかくするか、玄米粥、ほうとう、手打ちうどん、生うどんを摂る。

 副食も芋類、豆腐などを味噌味で食べると良い。塩、醤油は体を引き締め、味噌は造血するけれど引き締める作用は低い。陽性病の人は麦味噌中心で良い。

 

主 食 ・玄米ごはん、麦入玄米ごはん、玄米粥、赤飯、ほうとう、手打ちうどん、生うどん、お好み焼き。

ごま塩 ・8:2の黒ごま塩でパラパラ、白ごまふりかけ。

味噌汁 ・豆・麦味噌半々か、麦味噌が多くても良い。

出 し ・昆布、干しいたけ。

  具  ・わかめ、玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、油揚げ、麩、切干大根、南瓜、

     大根、白菜、春菊、小松菜、みつ葉、もやし、えのき茸、ゆば、里芋、じゃがいも、豆腐、ゆば、とろろ昆布等。

副 食  ・金平(ごぼう、蓮根、人参),ごぼうの丸煮。

        ・鉄火味噌、油味噌、ねぎ味噌、生姜味噌、ゆず味噌。

        ・ひじき蓮根、ひじきこんにゃく、ごま豆腐、ゆば料理。

        ・昆布の佃煮、椎茸昆布、のりの佃煮、焼きのり。

        ・南瓜昆布、小豆南瓜。白いんげん豆、うずら豆、季節の青い豆。

        ・切干大根と高野豆腐(油揚げ)。切干大根と里芋と油揚げの煮合わせ。

        ・野菜の天ふら(大根卸し付)ごぼう、蓮根、玉ねぎ、長ねぎ、南瓜、のり、よもぎ、しその葉、さつま芋、生しいたけ、きのこ等)。

        ・南瓜料理(コロッケ等)、蓮根料理(ボール、ハンバーグ等)、コーフー料理(カツ、串カツ、コーフボール等)。

        ・おでん、味噌煮(ごぼう、蓮根、人参、大根、厚揚、がんもどき、里芋、じゃがいも、こんにゃく、豆腐)。

    ・大根料理。(ふろふき、油揚げと煮付)。

     関節が硬い人ごま油、醤油入大根おろし。

        ・セイタン(油揚げ、生こうふう)と野菜の炒め煮(玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、人参、南瓜、小松菜、大根葉、つみ菜、ぬき菜、春菊、キャベツ、とうもろこし、えのき茸、洋野菜、冬場はあんかけ料理。

        ・豆腐料理(湯豆腐、揚げ出し、ステーキ)、おから料理。

        ・温野菜サラダ。

        ・梅干、古漬たくあん、白菜漬、即席漬。

飲 物  ・三年番茶、番茶、はと麦茶、麦茶、ウーロン茶、どくだみ茶、ヤンノー、タンポポコーヒー、くず湯。りんご或いはみかんジュース。

        ・疲れた時、お腹が痛い時には醤油番茶、梅生番茶(大根おろし入)。

手 当 ・生姜シップ、生姜油の擦り込み、足湯、生姜湯風呂(5分前後)等。

         入浴は低めの温度。

 

       陰性低体温の食事

 

 陰性低体温には低血圧、貧血の食事と一緒です。血液が薄いか、水分の多い血液だから、陰性食品は当分カット、主食中心で、副食は根菜を塩と油と火で良く煮込み主食の1/3~1/4程度にする。

 造血の早い玄米もち、赤飯、煮込みそば、味噌料理、自然薯入鉄火味噌、男性ホルモンを造る亜鉛、鉄分の多い高野豆腐、乾燥湯葉、ひじきを根気よく食べる。

 貧血が激しい時は、一時的に鯉こく、ウニの塩辛。

 

主 食 ・(あわ、きび入)玄米ごはん、小豆入玄米ごはん、炒めごはん、焼きおにぎり、玄米もち、ほうとう、豆味噌煮込みうどん、日本そば、

     スパゲティ-、マカロニも可。

ごま塩 ・7:3の黒ごま塩 小匙1杯程度、軽い貧血には白ごまふりかけ。

味噌汁 ・豆味噌100%か。状況によって豆・麦味噌半々。

出 し ・昆布。

  具  ・わかめ、玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、油揚げ、麩、油焼き玄米もち、切干大根、南瓜、百合根、自然薯、大根、白菜、春菊、小松菜、ゆば。

副 食  ・金平(ごぼう、蓮根、人参)。

        ・鉄火味噌(自然薯入が最高)、油味噌。

    ・貧血が激しい時鯉こく、うにの塩辛、卵醤。

        ・ひじき蓮根、ひじきごぼう、ひじきこんにゃく、ごま豆腐、自然薯。

        ・昆布の佃煮、たけのこ昆布、のりの佃煮、焼きのり。

        ・南瓜昆布、小豆昆布、白いんげん豆、うずら豆。

        ・切干大根と高野豆腐(又は油揚げ)、乾燥ゆば料理。

        ・野菜の天ふら(大根おろし付) ごぼう、蓮根、人参、玉ねぎ、長ねぎ、南瓜、栗、のり、よもぎ、しその葉。

        ・南瓜料理(コロッケ等)、蓮根料理(ボール、ハンバーグ等)、コーフー料理(カツ、串カツ、コーフボール等)、雑穀入(ハンバーグ、コロッケ等)。

        ・おでん、味噌煮(ごぼう、蓮根、人参、大根、厚揚、がんもどき)。

    ・大根料理(ふろふき、油揚げとの煮付け等)。

        ・セイタン(油揚げ、生こうふう)と野菜の炒め煮(玉ねぎ、長ねぎ、ごぼう、人参、南瓜、小松菜、大根葉、冬場はあんかけ料理。

        ・梅干、寒漬大根、古漬たくあん、夏場には即席漬を少し食べても良い。

飲 物  ・塩入三年番茶、ヤンノー、タンポポコーヒー、玄米スープ、くず湯、

     醤油番茶、梅生番茶。

手 当 ・生姜湯シップ、生姜油の擦り込み。生姜湯の足湯。

 

 要するに根菜を中心にじっくり火を通し、陽性な加熱のエネルギーを加えた料理が必要です。炭火で調理すれば遠赤外線の効果があります。

 貧血には鉄鍋を使えば鉄分の補給になります。

  陰性の低体温は陰性な食べ物、飲み物をカットし、上記の食養を実践すれば比較的早く治ります。